エンタープライズサーチを導入したいと思ったとき、導入のポイントの一つは価格ではないでしょうか。要件を満たす製品が複数ある場合、費用対効果を得るためには少しでもコストを下げたいところかと思います。
では、エンタープライズサーチの価格は何で決まることが多いのでしょうか?
結論からいいますと、エンタープライズサーチの価格が決まる大きな要素は、「利用者数」「サーバ数」「文書数」「求める機能の有無」が挙げられます。それぞれの考え方について、見ていきましょう。
目次 |
1)利用者数 |
まず、エンタープライズサーチの課金スタイルとして考えやすいのが利用者数です。SaaSのサービスでよくあるように、利用者の数に対して課金されるものです。利用者数で価格を決める場合の大きなユーザーメリットとして、価格の予想が立てやすいという点があります。従業員数や採用は、経営にとってとても大切な要素です。よって、慎重に数字が決まることが多く、その数字に比例して課金額が決まるので、見て分かりやすく、理解しやすいという大きなメリットがあります。
ただ、急成長企業の場合は、当然のことながら従業員が増えるに従って価格も上がっていきます。大企業の場合、定型的な業務をしており検索量が少ない従業員が多かったとしても、多くの予算が必要になります。
利用者数の課金が向いているのは、少人数で膨大なファイルを取り扱う部署や、従業員をグロースしないことをポリシーとして、限られたリソース内で生産性を最大化すると決めた企業などが、適しているのではないでしょうか。
2)サーバ数 |
合理的な課金スタイルのひとつとして考えられるのが、製品をインストールするサーバ数での課金です。サーバ数は、物理的に目に見えてカウントできますし、そもそもマシン調達の際に稟議を通す時も「サーバ何台」ときちんと資料に残すため、同じだけエンタープライズサーチの費用もかかるという根拠が見えやすくなります。
エンタープライズサーチ製品の多くは検索対象の文書数が増えた場合にスケールアウト(サーバ台数を増やす)で対応するケースが多いのですが、電子化等に伴い検索対象が急激に増えた場合、エンタープライズサーチのコストも急激に増える可能性があります。また、最近では仮想サーバやクラウド上のサーバを利用するケースが増えてきましたが、物理サーバと違ってマシンに搭載できるスペックの上限が決まっていたりすると無造作に台数が増える傾向にあり、細かい階段形式でコストが跳ね上がってしまうという恐れもあります。
一見透明性が高く感じられるサーバ数での課金ですが、この形式が向いているのは、1台のサーバで潤沢なリソースを準備することができ且つ今後検索対象の増加があまり見込まれない環境が適していると言えそうです。
3)文書数 |
さらに、エンタープライズサーチの導入を決めるとき、文書数に比例して課金が決まるという方式が存在します。これは、文書が増えれば増えるほど、当たり前ですが予算も取られていきます。エンタープライズサーチを導入するサーバ台数の増加は製品によって基準が異なっていたり(そもそそも基準が無かったり)と明確でなく予測がしにくいというデメリットがありますが、長いサーバ運用の中で、データの増加傾向を把握している企業が多いことから、文書数の方が増加の予測を立てやすく透明性が高いと言えます。
また文書数を基準にしている製品の多くが「文書数=製品が保持しているインデックス数」としています。「製品が保持しているインデックス数」という明確な情報のみで費用を判断できるのも透明性の高さに寄与していると言えます。
4)求める機能の有無 |
エンタープライズサーチ には、企業内文書をサーチャブルにするという基本機能以外に、Active Directory連携、専門用語の辞書登録、画面のカスタマイズ、他アプリーケーションへの連携等、検索を自社にフィットさせるため様々な機能が提供されています。
基本機能に付随する機能は製品毎に様々で、その料金の考え方も変わってきます。後になって、求めている機能が別料金だったということがないように、予め全体の金額感を確認しておきましょう。
保守費用やサーバーコストも忘れずに |
エンタープライズサーチはソフトウェアですので、サポートを受けたり、バグフィックス版の提供を受けたりするには毎年保守費用が必要です。
また、ソフトウェアをインストールするサーバを用意する必要があり、サーバに求めるスペックは製品や文書数によって変わってきます。予め導入時のサーバコストとデータが増えた時のサーバコストを試算しておきましょう。
AI(人工知能)・ML(機械学習)を使った機能はフィットすれば便利ですが、通常よりもマシンスペックを多く必要としますので、その機能の本質とコストが見合っているかはよく検討する必要があります。
エンタープライズサーチを導入すると経営が変わる |
データが増えるほど、大きな組織になるほど、過去に似たようなプロジェクトがあることを知らなかったり、知見が何らかの事情で埋もれていたり、隣の部署の仕事に類似性があったりが見えづらいという問題があります。しかし、全社的に、事業横断的にエンタープライズサーチを導入すれば、その見えづらさが一気に解消されます。
クリックひとつ、検索ひとつで、類似したドキュメントを一気にピックアップでき、「あっ、過去にこんな資料があったんだ」「この情報はこの部署のこの人が詳しいんだ」ということが一目瞭然となるのです。ゼロから知識と資料を積み重ねなくとも、過去の資料を流用したり、詳しい人にアドバイスをもらいに行ったりと、エンタープライズサーチは資料作成の行動を良い方向に変えてくれます。
その行動の変化の積み重ねが、残業時間削減や定時帰り、有給休暇の所得率向上など、さまざまな指標として、経営にも現れてきます。そして、そうした指標は、従業員満足度を向上させ、離職率を大幅に下げ、市場の評判を良くして、株価を高めたりよりよい採用が可能になったりと、経営によい効果をもたらします。全社的に導入すればするほど、そのインパクトは大きく、知的生産という現代のビジネスにおいて重要な役割を果たしてくれるのです。
まとめ |
エンタープライズサーチの費用対効果を考える時、検索時間だけでは判断できないことがあります。ドキュメントを探す行動にかけられる時間が長くなった代わりに、資料作成の時間が減り、全体的に業務時間が短くなりアウトプットの質が上がったというケースも存在するからです。生産性とは、単位時間あたりのアウトプット/インプットの割り算で計算できますが、総合的なアウトプットの生産量が大きくなればなるほど、そしてインプットの時間が短くなればなるほど、生産性は向上していると判断できます。
そうした指標を一方でみつつ、価格とのバランスをみて、導入を決定するのがいいのではないでしょうか。最後になりますが、弊社ブレインズテクノロジーのNeuron ESは、「利用者数」「サーバ数」に依存しない大規模プランや、「文書数」が500万文書以内であれば月額9万円から始められるサブスクリプションモデルなど、ご利用形態によって最も安価にエンタープライズサーチを導入できる各種プランをご用意しています。